信託契約は、委託者と受託者の合意で成立し、効力を生じますが、財産の対抗要件として、登記しなければ第三者には対抗できませんので、「登記」は必要です。
「登記」することによって、委託者に「分別管理義務」(受託者の財産とは別管理の義務)が課せられます。(登記は受託者が単独でできます。)
※実務では、「所有権移転登記申請」と「信託登記」を同一の申請書で行います。
(本人申請、または、司法書士に依頼)
住居(実家)信託の基本スキームは、委託者=受益者(「自益信託」といいます)ですので、受任者には、原則として、課税されません。(※委託者と受益者が異なるばあいには、受益者に課税されます。)
信託では、原則として、受益者が信託財産の所有としてます。受託者は名義のみであり。賃料等は所有者が受け取りますので、財産としては移動がないものとして扱われます。
(※詳しくは、お近くの税務署、または、税理士にご照会ください。)
信託契約をを締結し、登記すれば、当該不動産は受託者名義となり、固定資産税台帳には受託者が記載され、翌年以降の納税通知書は、受託者あてに届き、納税義務が発生します。
(※詳しくは、市区町村税務担当部署にご照会ください。)
以下の手順で確認を行います。
(1)実家の不動産について、登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し所有者の名義を確認
(2)公図等から道路・水路・共有地などの非課税地目(固定資産税通知書には掲載されない)の名義
(3)金融機関の抵当権・根抵当権の記載の確認
(4)住宅ローン等の残務がある場合、名義変更すると、期限の利益を喪失するため、注意が必要
◆当初の所有者が受益者となる「自益信託」にすることが必須条件です。
◆信託終了時について、委託者の死亡時にしないことです。
(これは、死亡終了の相続問題のリスクと税務面のデメリットです)
(※詳しくは、お近くの税務署、または、税理士にご照会ください。)
◆信託契約書の記載内容について、信託する目的を明記することが必要です。
◆不動産が農地の場合◆
実家が農業を営んでいる場合には、不動産に農地が含まれますが、農地は農業協同組合または農地保有合理化法人以外による信託の引受け以外、原則として信託できません。
市街化区域内において、地目が農地の場合、現状が宅地として使用している場合においても、信託の登記申請する前に、宅地への地目変更登記(農地法第4条)が必要となります。
実務的には、実家が農業を営んでいる事案が多いですが、農地の信託については、法律の改正が待たれるところです。
下記のケースについては、ご相談ください。
◆信託した住居(実家)を貸す場合
◆信託した住居(実家)を売却する場合
◆信託した住居(実家)を建て替える場合