平成27年5月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が完全施行されました。
最近、マスコミ等で取り上げられていますが、この法律は、所有者が認知症などで管理・処分できずに困っているご家族や田舎に空き家(実家)を持つ相続人にとって、解決しなければならない重要事案であり、しかも、老朽性が著しい空き家では、すぐに対策が必要なほど緊急性も含んでいます。
もはや、空き家を放置できない時代であるこは、私たちは自覚しておく必要があります
現在、一人暮らしの高齢者が全国で約600万人(女性21%、男性13%)と言われてます、
今も65歳以上の高齢者の単身世帯もしくは夫婦世帯が増加しており、近い将来、多くの住居が空き家となる可能性(空き家予備軍)が大きくなってます。
この法律により、国・市町村は、「空家等」の所在や所有者の調査等が可能となり、「特定空家等」(空家等の中で損傷が激しくなった空家等)の所有者に対して、立入調査や指導・勧告ができるようになってます。
「改善勧告」があると、対象の「特定空家等」の敷地の固定資産税等が「住宅用地特例」の対象から除外されるため、固定資産税が6倍、都市計画税が3倍になる可能性があります。
住宅(実家)が空き家になる要因は、複合的な要因がありますが、以下の区分が考えられます。
(1)所有者の認知症
(2)相続による共有
(3)相続人全員の相続放棄
(4)買い手がつかない(立地条件が良くない、老朽化が著しい、更地にするのに費用がかかる等)
(5)売却に消極的(大量な家財等が愛着があり処分できない)
(6)賃貸物件にすると借地借家法により立退・売却が難しいため、結果的に解決できずに放置
【国の税法上の「空き家対策」】
平成28年度税制改正で新たに「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」があります。
「空家特別控除」は、相続から3年以内(H28.4.1~H31.12.31)に空き家を売却した時に、その家屋または土地の譲渡益から3,000万円が控除できる制度です。
この制度は、親しか住んでいなかった1戸建ての実家が、親の相続により「空き家」になってしまい、その後も「空き家」となっている場合ですので、使えるケースは限定されます。
また、多くの要件(築年数S56年以前など)を満たさなければ適用となりませんし、マンションなど共同住宅は対象外です。
そこで、「らぽーる支援センター」がご案内するのが、将来、空き家になっても売却や賃貸が確実にできる「老後の住宅管理(信託の活用)の支援」です。
所有者が生前に不動産の名義を変えるには、「売買」・「贈与」の2つの方法に限られてました。
売買であれば買い手に資金が必要だし、贈与であれば受贈者に贈与税がかかります。民法では、不動産の名義と財産権を分けることができないため、「名義だけ変える」ことは不可能でした。
しかし、信託法の改正(H19年9月)により、民法とは異なる「信託により名義を変える」という「3つ目の方法」が加わりました。
つまり、不動産の名義を持つ人と不動産の権利を持つ人を別々にすることが可能となりました。
不動産を信託することで、名義を変えても、財産権は元の所有者が持ち続けられます。売買による資金の必要や贈与税の心配はなくなります。
住宅(実家)信託は、民事信託(家族信託)と同じ仕組みで、「信託契約による方法」です。
登場人物は、委託者(本人)、受託者(信頼できる人:住居信託の場合は推定相続人の子など)、受益者(本人)となります。
主には、空き家防止のための住宅(実家)信託では、親と子の「契約による信託」を使います。
具体的には、住宅(実家)の所有者である親が元気な間に「委託者」となり、住宅(実家)を管理するこがを「受託者」、所有者の親を「受益者」として、信託契約を「公正証書」(または、「宣誓認証」)で締結します。
ここで重要なことは、『受益者』を住宅(実家)の所有者(親)以外に決してしないことです。
つまり、委託者=受益者となります。
例えば、受益者を孫とする信託契約を結ぶと、住宅(実家)の不動産が孫に贈与されたことになり、贈与税が課せられますので、注意が必要です。
具体例として、父が所有者となっている実家をみてみましょう。
実家の不動産について、父が元気なうちに、子(長男)に変えることにより、子(長男)は不動産の管理・運用・処分などの財産管理義務を負います。しかし、財産権(家・土地の本体)は、当初の所有者である父のままにしておきます。
これにより、父が将来「認知症」等になっても、死亡して相続が開始されても、財産管理は子(長男)のまま継続します。
信託を活用すれば、将来、父が認知症になっても、処分できないことによる「不動産の凍結」を未然に防止できます。
遺言や成年後見では、できないことが、「信託の活用」で、事前に対策を取ることが可能となりました。
「信託」で最も重要なことは、委託者(上記の事例では、「父」と受託者(上記の事例では、「子(長男)」)の信頼関係です。
かつ、信託契約ですので、委託者・受託者に契約する能力がないとできません。
公証証書による信託契約の締結後に、認知症等により判断能力が低下しても、信託契約には影響はありません。
「らぽーる支援センター」では、住宅(実家)の管理等にお悩みの方に、信託の活用をオススメしております。
現状では、所有者のお父さんが認知症になってからのご相談が多くありますが、大切なことは、いずれ、ご両親のお住いの実家が、「空き家」となる問題は避けて通れませんので、お早めに、ご相談頂ければ、未然に対処・解決できますので、ご相談をお待ちしております。
次のご質問について、「活用のポイント」で解説してます!
◯信託の場合、登記は、どうなる?
◯信託の場合、固定資産税は、どうなる??